今後の展開が面白そうだ
俺の趣味はバイクだ。
愛車はkawasakiGPZ1000RXと言う、いわゆるリッターバイクと言うカテゴリーの、大型バイクだ。
休日はこいつで遠出をすることが俺のストレス解消方法と言うわけだ。
バイクって、何となく事故のリスクが高いように思われるけれど、俺は今まで事故った事はない。それが自慢だったのだが、二か月前の休日に富士五湖に出かけたときの事だ。
峠の茶屋的な店で蕎麦を喰っていたら、表で“ガシャン”と言う大きい音がしたのでそちらを見たら、何と俺のバイクに白のベンツが乗りあげるようにしているではないか。俺は蕎麦を喰う箸を思わず落としてしまった。
とりあえず、表に出ながら“マルB出なければいいけれどな”と思いながら、現場に近づいて行った。
ベンツはバックをして、俺のバイクから一旦離れ、ドアを開けると中から若い、綺麗な女が降りてくるではないか。
「エンジンを止めて、バイクから燃料が漏れているから、早く」と俺は叫び、携帯をライダースーツのポケットから取り出し、119番をした。
消防は待つほどもなく到着し、漏れだした燃料の処置をした。同時に警察もやってきて、俺とベンツの女に事情聴取をした。
一応、物損事故と言う事でけりがつき、帰りの足がなくなった俺は、女が運転する傷ついたベンツで家まで送ってもらう事になった。
俺のバイクは、地元のバイク屋が引きとって、修理の可否をしていると言う。たぶん、フレームまで曲がってしまい、修理は不能だろうけれどね。
帰る道すがら、女は頻りに俺に詫びる。
しかし、いくら詫びられてもバイクが戻ってくるでは無し、俺はむっつりとだんまりを決め込んでいた。
俺の住むマンションの玄関まで、女はベンツを乗り付けると、自らも降り立ち、名刺を俺に渡した。
肩書は何もないが、名前に覚えがあった。しかし、覚えがあるだけで、何者なのかは判らなかった。その場で、俺は女にことわり、名刺の電話番号に携帯から電話をかけ、実在する住所であることを確認したのだった。
女は再び、深ぶかと頭を下げると、ベンツに乗り込み帰って行った。
その後、俺と女はバイクの賠償問題のために何度か会うようになった。
何度目かの時、俺は腹が減って仕方がなかったので、待ち合わせの場所を行きつけの小料理屋にしてしまった。常連たちは、女をてっきり俺の彼女だと思いこみ、変な方向に話しが流れて行った。
その時、女は妙に嬉しそうにしていたことが、俺は気がかりだった。
そして、賠償してもらったバイクの納車の日、何と女はバイク屋と一緒に俺のマンションにやってきたではないか。
更に驚いたことにい、女はライダースーツを身に纏い、ヘルメットを小脇に抱えていた。
もっと驚いたのは、バイク屋のトラックからは俺が指定した色のバイクと、色違いの同じ車種が降ろされたことだった。その色違いのバイクは、女が自分用に買ったものだと言うではないか。
何故?
答えは簡単だった。
事故った時の俺の処理能力に、男としての魅力を感じたと言うことだった。
そして、女は今俺の彼女になりつつある。変な出会いだったが、なんだか今後の展開が面白そうだ。
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